会社設立時の定款についての取り扱いについては知っている方は多いのですが、設立後の定款の取り扱いについては、あまり注意しない方も多いので、ここでは会社設立後の定款の取り扱い、変更方法についてまとめてみました。
会社の定款は、紛失しないように普段は金庫などの重要書類保管場所に保管しておきましょう。
また定款は登記簿謄本のように、法務局に行けば誰でも取得できる書類ではありませんので、基本的には原本を他人に渡してはいけません。
官公庁に定款を添付する場合、または何かの契約で定款を添付する場合があるとしても、コピーを添付するか、原本を見せてその場で返してもらうという場合のどちらかです。(ただし、会社そのもの他人に売買する場合などの特別な例を除く)
もし原本を渡し、返却しないといわれたら、(基本的にそういうことはありませんので)注意してください。
定款の内容を変更したい場合は株主総会決議にて行います。
例えば、定款の記載事項の一つである会社名を変更する場合は、株主総会を開催し会社名変更の決議を行います。そしてその変更を決議した議事録を作成します。
内容を変更した定款の保管方法ですが、会社設立時の原始定款に定款変更に伴う株主総会議事録を添付しておくという方法を取ります。つまり、内容を変更するごとに原始定款に添付する議事録が増えていくことになります。
また、定款そのものについては、議事録さえきちんと原始定款と一緒に保管しておけば、変更内容に書き換える必要はありません。
※定款を変更する場合は、設立時のように公証役場での定款認証は必要ありません。
定款変更を行う場合、内容によっては株主総会決議及び議事録の作成だけでなく、登記も行う必要があります。
例えば、商号、本店所在地、会社の目的 などを変更する場合です。
こういった場合は、株主総会議事録作成と同時に登記に関する書類を作成して、法務局に書類を提出も行います。
新会社法スタート後は、定款自治の考え方から会社の基本ルールやあり方について、それぞれの会社で自由に決定できる幅が広がりました。(例、役員の任期、役員構成、株式に関する規定など)、そしてこれらは定款に定めることにより、その会社のルールとして認められることになりました。
例えば役員の任期を伸ばす、監査役を置かない会社にする、会計参与を設置するといった新会社法のメリットを活用するためには定款に記載する必要がありますので、定款変更を行う必要があります。
つまり、新会社法のメリットを活かすためには定款変更を行い定款に盛り込む必要があるわけです。
また、設立からずっと定款を変更しておらず、実態と離れているといった会社の場合は会社法改正を期に、定款を一度見直すことをお勧めいたします。
会社設立時に認証を受けた定款を設立後紛失してしまった場合は、以下の手続をとれば再度取得することができます。
定款をなくした場合、まず会社設立時に認証を受けた公証役場に、会社設立時作成した原始定款の謄本の交付請求をします。
ただし、認証後20年を超えるものについては公証役場によっては保存していないこともあります。
また、認証を受けた公証役場が不明の場合には、会社設立後5年以内であれば、設立登記をした法務局が設立登記に関する書類の一部として定款等を保管していますので、問い合わせをしてみましょう。
会社代表者等であれば、その会社の書類を閲覧することができるので、それで公証役場を確認することができます。
公証役場で手に入らない場合や、設立後に定款の内容に変更が生じている場合には、再度定款を作成することになります。
定款の記載事項には、登記される事項と登記されない事項があります。まず、法務局で最新の登記簿謄本を請求し、登記された定款の記載事項を確認し、その他の事項については、過去の株主総会や社員総会の議事録を調査して、変更内容を確認してその内容に基づいて作成します。
それでも不明な部分がある場合には、株主総会または社員総会の特別決議による承認を受けることで、現在の会社の定款を自由に再度作成することができます。
上記のような手続で再度作成されたされた定款は、公証役場における認証を受ける必要はありませんが、諸官庁に提出する場合等必要ならば私文書として認証を受けることができます。
会社設立時から、定款をまったく見ておらず、内容がそのままになっている方、定款を紛失されて困っている方、これから定款を変更したいと考えている方など、定款に関する事でお困りのことがあれば、お気軽にご相談下さい。